こんにちは。保険代理店サークルの菊地です。
今回のコラムでは、最近ニュースなどで話題になっているナフサ不足と価格高騰についてお伝えします。
ナフサ不足によって私たちの生活で困ること、日常生活でできる対策について解説します。

ナフサって何?不足している原因は?
昨今の中東情勢に関するニュースでナフサという言葉を耳にするようになりました。
ナフサとは地底からくみ上げられた原油の成分です。原油そのものは軽油や重油などいろいろな成分が混ざっていて、ナフサもそのうちのひとつです。このナフサを分解すると、さらに多くの種類の化学原料ができます。
ナフサが不足している原因は2つあります。
1つは現在の中東情勢です。アメリカとイスラエル対イランの軍事衝突やホルムズ海峡の封鎖によって、ナフサを含む原油の輸送が遅れ、輸送船が確保できない状態になっています。それに伴って調達コストも急騰しています。
もう1つの原因は、流通の目詰まりです。日本政府の見解では、国内にナフサの備蓄はあり、他の国からの調達も進めているため、ナフサの必要量は確保できているとされています。しかし、企業が過剰発注をしたり、サプライチェーン*のどこかで流通が止まったりして、ナフサの在庫はあるのに必要な所まで届かないという目詰まりが起きています。
*調達→生産→物流→販売→購入の流れのこと

ナフサがないと何が困るの?
ナフサは原油の成分のひとつですが、燃料ではなく化学原料です。ナフサは混合物なので、高温処理をするとさらにいろいろな成分に分解できて、その各成分から多くの種類の製品が作れます。そのため、ナフサがないと作れなくなってしまうものがたくさんあるのです。
ナフサの各成分から作れるものの例
・エチレン:薄くて柔らかい素材・・・レジ袋、食品トレー、ラップ
・プロピレン:硬いプラスチックなどの原料・・・タッパー、アクリル繊維、不織布マスク
・ブダジエン:弾力のある素材・・・タイヤ、靴底、ゴム手袋などのゴム製品
・ベンゼン:軽くて丈夫な素材・・・発泡スチロール、ナイロン繊維、接着剤用の樹脂
・トルエン:塗料やスポンジの原料:ペンキ・インキなどの塗料、接着剤、ウレタンフォーム
・キシレン:透明な容器や丈夫な繊維の素材:ペットボトル、ポリエステル繊維、フィルム
私たちの生活に影響を及ぼす身近な例を以下に挙げました。
住宅に関わること
ナフサ不足によって、家を作るために使う接着剤やコーティング剤、塗料、水道管、断熱材など多くのものの供給がストップしました。これにより、住宅設備メーカーがユニットバスの受注を一時停止するなどの事態が起きました。供給が再開しても生産が追いつかず材料が現場に届かないことで、新築住宅の引き渡しの遅れが起きています。
自動車や家電製品に関わること
自動車やバイク、家電製品を作るには大量の部品が必要です。その中でナフサが関わるのはプラスチック部品・ゴム部品です。部品が1つないだけで製品の組み立てができなくなってしまいます。先に挙げた住宅と同様に塗料も不足していますので、車体の塗装ができない事態も起きています。
日用品に関わること:食品、衣料品、消耗品
スナック菓子メーカーのカルビー株式会社が、ポテトチップスなどのパッケージをカラーからモノトーンに変更する発表があったことは記憶に新しいのではないでしょうか。*
カルビー株式会社の対応も、先に挙げた住宅と同様にパッケージ塗装用インクの不足を懸念したものです。この事例を皮切りに、今後は食品などのパッケージデザインや包装の簡素化が進むと考えられます。結果として日用品全体の値上がりに至るリスクも大きいでしょう。
*カルビー株式会社 中東情勢の影響による一部商品仕様見直しのお知らせ
通信販売などの物流に関わること
物流センターでは、緩衝材、商品に巻きつけて固定するための透明フィルム、段ボールに封をするためのテープなど多くの消耗品が必要です。ナフサ不足でこれらの消耗品の納品が滞ると物流はストップします。通販はもちろん、私たちが買い物に行く販売店にも商品が届かなくなってしまいます。

ナフサ不足・価格高騰に備えてできる対策は?
日本には過去にも、1973年のオイルショック時にトイレットペーパー騒動が起きたり、記憶に新しい2020年のコロナ禍でもマスク騒動やトイレットペーパー騒動が起きたりしました。小さなお子さんがいらっしゃるご家庭などでは消耗品のストックは死活問題ですから、騒動が起きてしまうのも仕方ない面はあります。しかし、過度な買い占めは単なるパニック買いです。消耗品のストックに家計の全力を注いだあと突然のケガや病気など思わぬトラブルに見舞われたとき、手元にお金がないと元も子もありません。
私たちが日常で心掛ける対策は以下の通りです。
「無くなると本当に困る日用品」を少しだけ多めに持つ
いっぺんにたくさん買うのではなく、普段の買い物のついでに少しだけ多めに買うと良いでしょう。大勢の人がいっぺんにたくさん買うと売り切れが続出してしまうので、流通に負担がかかって余計に手に入りにくくなります。
消耗品を長持ちさせる・増やす工夫をする
ゴミを収集に出すときは、なるべくゴミを圧縮してゴミ袋の容量をムダにしないようにしっかり詰め込みましょう。市区町村によっては指定のゴミ袋があるようですが、最近はナフサ不足のせいか素材が薄くなっているそうです。詰め込みすぎて破れないようにする点も注意しましょう。
横浜市のように指定のゴミ袋がない市区町村なら、買い物の際にマイバッグを使わずに大きめの有料レジ袋を買って、ゴミ袋代わりにストックしておくのも良いでしょう。
食品を保存するときはラップを使わずタッパーに移し替えるのもおすすめです。キッチンペーパーも消耗品ですから、洗って何度も使えるクロスに変えると節約できます。
シャンプーなどがなくなったら、毎回ボトルを買うより詰め替え用を買うほうが安く済みます。容量は少ないかもしれませんが、使われているナフサ原料の素材がボトルより少いので、容器代がかからないという意味で安く済むのです。できれば2~3回分入っている大容量の詰め替え用がおすすめです。
古い家電や住宅設備は壊れる前に点検・買い替えする
先に挙げたとおり、家電製品を作る部品のうちナフサが必要なプラスチック部品・ゴム部品は、1つないだけで製品そのものが作れなくなってしまいます。ご自宅の家電や給湯器が古かったり、すでに調子が悪かったりしたら、壊れたときに買い替えようとしても商品がないという事態が考えられます。商品の納期まで余裕が持てるように、早めの点検や買い替えを心がけましょう。

おわりに
数年前からコーヒーやチョコレートの原材料が地球温暖化により不足して価格高騰していましたが、今回のナフサ不足は中東情勢という地政学リスクによるものです。
先日、アメリカとイランの間で戦闘終結の覚書が署名されました*。その後1週間でホルムズ海峡の海上交通が再開されましたが、以前のような正常な流通にはまだまだ程遠い状態です。
サークルではナフサ不足などで起こり得る物価高にも備えられるように、資産運用ができる変額保険・外貨建保険についてのご相談を承っております。ホームページのお問い合わせまたはお電話でお気軽にご相談ください。
*日本経済新聞 2026年6月25日 17:35の記事より ホルムズ海峡、覚書1週間でタンカー98隻通過 封鎖前の25%まで回復
