こんにちは。保険代理店サークルの菊地です。
令和8年1月、ある離婚裁判の訴状が最高裁判所に受理されなかったという出来事がありました。簡単な経緯としては、最高裁判所の管轄外の裁判を必要なお金も払わずに訴えを起こした原告に対して、最高裁判所が2ページ以上にわたる説明文*を発行して訴えを却下したという流れです。「ふざけた訴状」に対しても丁寧で厳格な対応を行ったとしてSNS上で話題になりました。
裁判や弁護士相談は、普段の生活ではなかなか身近なものではありません。今回のコラムでは、弁護士相談や裁判にどれくらいお金がかかるのか、損害保険についている弁護士特約がどんなことに役立つのかを解説します。

弁護士相談にかかるお金:民事裁判のケース
普段生活している中で、裁判沙汰になることや弁護士相談を意識する機会はそれほど多くないでしょう。「もしも」の具体例としては、離婚や不倫の慰謝料請求のほか、親権、相続、遺産分割、成年後見などがあります。もっと身近なものでは、交通事故の損害賠償請求もあります。
もし弁護士相談や裁判をすることになったら、どれくらいお金がかかるのでしょうか。
ここでは、LAC基準という「弁護士保険における弁護士費用の保険金支払基準*」をもとに、民事裁判にかかる弁護士費用の目安を、相談~裁判~解決の時系列に沿って説明します。最後に、相手方に300万円を請求すると弁護士費用がいくらかかるかシミュレーションしました。
トラブル発生!まずは弁護士に法律相談
弁護士に法律相談をしてアドバイスをもらう費用を「相談料」と言います。30分で5,000円程度が一般的ですが、初回相談は無料のところもあります。LAC基準では1時間あたり1万円、出張相談の場合は1時間以内で3万円です。
弁護士にトラブル解決の代理人になってもらう
弁護士から今後の見通しや解決策、費用の見積もりなどを聞いたあと、正式に契約することになったら、代理人の委任契約を結びます。委任契約するときに最初に払う前金を「着手金」と言います。
着手金は手続きの対価のため、裁判の結果が負けてしまったとしても返金はされません。なお、弁護士費用が完全成功報酬制の場合は着手金はかかりません。
LAC基準では、
・訴訟で得ようとする金額(慰謝料や財産分与などの金額)が125万円以下の場合:10万円
・300万円以下の場合:訴訟で得ようとする金額の8%
・300万円を超え3,000万円以下の場合:訴訟で得ようとする金額の5%+9万円
・3,000万円を超え3億円以下の場合:訴訟で得ようとする金額の3%+69万円
・3億円を超える場合:訴訟で得ようとする金額の2%+369万円
いよいよ相手との交渉がスタート
委任契約を結んだら、弁護士がトラブル解決に向けて動き始めます。相手(多くの場合は相手の代理人弁護士)と交渉し、場合によっては調停や訴訟の手続きに進みます。このときに主にかかるお金は次の通りです。
■日当
弁護士本人が調査などのために出張したり裁判所に出廷したりするときにかかる拘束費用のことです。
日当の支払い基準*は、
・往復2時間を超え4時間まで:3万円
・往復4時間を超え7時間まで:5万円
・往復7時間を超える場合:10万円
■実費
出張や出廷にかかる交通費、相手方との文面のやりとりで発生する郵便代などの実費も、依頼した人が負担します。
■訴訟費用(申立手数料)
裁判所を利用する手数料のことです。申立手数料の金額は、訴訟で得ようとする金額によって決まっています。例えば金額が100万円以下の場合、10万円ごとに1,000円かかります。*
ちなみに訴訟費用については、勝ったほうが負けたほうに請求できます。他の弁護士費用は勝ち負けに各自が負担します。
トラブル解決!弁護士に報酬金を支払う
いわゆる成功報酬のことです。報酬金は、交渉・調停・訴訟の結果、相手から勝ち取った金額に応じて決まります。
LAC基準では、
・勝ち取った金額が300万円以下の場合:そのうちの16%
・300万円を超え3,000万円以下の場合:そのうちの10%+18万円
・3,000万円を超え3億円以下の場合:そのうちの6%+138万円
・3億円を超える場合:そのうちの4%+738万円
事例:相手方に300万円を請求するケースの弁護士費用
訴訟で得ようとする金額を300万円とした場合の弁護士費用をシミュレーションしました。
民事裁判の弁護士費用の目安
・相談料:2万円(法律相談1時間×2回)
・着手金:24万円(300万円の8%)
・日当、実費:10万円
※トラブル内容や立地による違いが大きいため、あくまでも目安です。
・訴訟費用:2万円
・報酬金:48万円(300万円の16%)
300万円を請求した場合の弁護士費用の合計:86万円

弁護士相談にかかるお金:刑事裁判のケース
刑事事件の弁護士費用は、民事のケースと全く違います。民事では相手からいくら勝ち取るかが焦点ですが、刑事では不起訴・執行猶予・否認など何を目指すかが焦点になるからです。
刑事裁判の弁護士費用の目安
- 法律相談料:30分5,000円程度
- 着手金:30~40万円が相場。ただし、捜査段階(逮捕〜起訴前)と裁判段階(起訴後)のそれぞれでかかるので、合計すると60~80万円程度となる。
- 報酬金:不起訴・執行猶予・無罪などの結果に応じて発生する。不起訴の場合は30万円~40万円程度。無罪になった場合は100万円以上の金額が発生することもある。
- 接見日当:弁護士に面会に来てもらう費用。1回2〜3万円程度。
- 勾留執行停止、取消:着手金と報酬金でそれぞれ10~20万円程度。合計すると20~40万円程度となる。

困ったことがあったら相談できるところ
いきなり裁判沙汰とはならなくても、日常生活で困ったことがあったら法律相談できると心強いと思います。初回無料のシステムがある法律事務所のほか、市区町村にある法律相談窓口や、国が設立している法テラス(日本司法支援センター)も利用できます。

損害保険の弁護士費用特約とは
主に自動車保険についている弁護士費用特約は、弁護士に支払う法律相談費用・書類作成費用・弁護士費用を補償します。保険会社によって補償内容は大きく違いますので、一般的な補償内容を説明します。
補償のタイプ
自動車保険の弁護士費用特約は、自動車事故のみ補償するタイプと日常生活のトラブルまで補償するタイプの2つがあります。
自動車事故のみの補償は、もらい事故が起こった時に自分で弁護士をたてて示談交渉するときの費用をカバーできます。もらい事故で自分の過失がない場合、自分が加入している自動車保険の保険会社は示談交渉に入ることができないからです。これは、弁護士法72条で非弁行為として禁じられているためです。
対して、日常生活のトラブルまで補償するタイプは、例えば自転車同士での事故、散歩中のよその犬に咬まれてケガをした、他人に物を壊された、といったトラブルで、弁護士をたてて示談交渉するときの費用をカバーできます。
補償される金額
補償される金額は保険会社によって異なりますが、相談費用書類作成費用は10万円、弁護士費用は300万円が一般的です。これは、先に説明したLAC基準に基づいた保険会社の設定だからです。
ただし、保険会社や商品、契約時期によって変わる可能性が高いですので、詳しくはご自身が加入されている保険会社へお問い合わせください。

おわりに
弁護士や裁判はドラマなどではよく取り上げられるテーマですが、日常生活で使うことを意識する機会は少ないでしょう。しかし、自動車や自転車、LUUPのような乗り物が行き交うところではいつどんな事故に巻き込まれるか分かりません。何でも裁判沙汰を前提にする訳ではなく、何か起こった時にどこに相談するか、その後の流れはどうなるのか、お金はいくらかかるのか、心の準備をしておくと安心です。
サークルでは、弁護士特約などの補償内容についてのご相談を承っております。ホームページのお問い合わせまたはお電話でお気軽にご相談ください。
