こんにちは。保険代理店サークルの菊地です。
6月は梅雨の季節です。梅雨前線の影響で大雨が降ることが多い時期です。梅雨が明ける7月から10月は台風の季節で、10月以降は秋雨前線の影響でまた雨が続きます。
この時期に増えるのが水害です。洪水や土砂災害のニュースを見たことがある方も多いでしょう。被災されたご経験がある方も少なくないのではないでしょうか。
今回のコラムでは、水害でどんな被害が起こるのかを踏まえた上で、避難の判断基準や日頃から備えておくべきことなど、身を守る方法を詳しく解説します。

日本は災害大国。水害が多い理由とは?
日本には多くの山と川があります。国土が海で囲まれているのも島国ならではの特徴です。この美しい自然環境と四季がある気象条件が、日本が自然災害大国である理由です。
自然災害のなかでも水害は特に発生しやすいです。梅雨や台風で大雨が降ると、山地と平野で高低差が大きい地形にある河川では、あっという間に水位が上がってしまうからです。加えて、狭い平野部に人口と都市機能が集中している点も被害が拡大しやすい理由です。さらに、気候変動の影響から局地的な集中豪雨が増えているのも要因と言えます。
国土交通省の報告によると、1時間あたりの降水量が50mm以上の短時間強雨の件数は、約40年前より約1.5倍も増加しています。

*出典:国土交通省 河川事業概要2025

知っておきたい水害の種類:どんな被害を受ける?
ひとくちに水害と言っても、起こる原因や受ける被害はさまざまです。水害の種類にはどんなものがあるのでしょうか。
- 外水氾濫(がいすいはんらん):大雨や雪溶け水が流れ込んで河川の水位が異常に上昇し、堤防を越えたり決壊したりして周辺が浸水する現象です。水の流れが速く破壊力も大きいため、人的被害や家屋の倒壊などを引き起こす危険性があります。
- 内水氾濫(ないすいはんらん):下水道や排水路の処理能力を超えるほどの大雨が降ったときに、雨水が地上にあふれ出す現象です。アスファルトで覆われた都市部で発生しやすいため都市型水害とも言われます。地下街や建物の浸水被害をもたらします。
- 土砂災害:大雨や地震などにより地盤が緩み、土砂や岩石が急に流れ出す現象です。家屋の埋没や倒壊、道路の寸断などを引き起こし、人命を脅かす危険な災害です。具体的には土石流、地すべり、がけ崩れなどが起こります。
- 高潮(たかしお):台風や低気圧の力で海面が上がることにより、沿岸部が浸水する現象です。満潮時と重なるとさらに浸水範囲が広がり、被害が拡大する恐れがあります。その他に水害の恐れがある現象には波浪(はろう)や高波があります。
- 津波:地震や海底火山の噴火が起こると海底地殻変動が起こります。その力で波が陸地に押し寄せて被害をもたらす現象です。水害のなかでもひときわ範囲が広く破壊力も大きいため、建物や人命に甚大な被害をもたらします。
国土交通省の報告では、令和6年9月20日からの大雨による石川県での土砂災害発生件数は278件でした。この土砂災害で12名もの方が亡くなり、家屋の全壊被害も93戸起こっています。ひとたび水害が起こると広範囲で大きな被害を受けることがよく分かります。

*出典:国土交通省 河川事業概要2025

大雨洪水特別警報って何?注意報との違いは?
大雨洪水特別警報は台風の季節に耳にしたことがある方もいるでしょう。特別警報は気象庁が発表する呼びかけのひとつで、予想される災害レベルによって言い方が変わります。
- 注意報:災害が発生するおそれのあるときに注意を呼びかけて行う予報です。
- 警報:重大な災害が発生するおそれのあるときに警戒を呼びかけて行う予報です。
- 特別警報:警報の発表基準をはるかに超える大雨等が予想され、重大な災害が発生するおそれが著しく高まっている場合に発表されるものです。最大級の警戒を呼びかけます。
*参考:気象庁 気象警報・注意報の種類

気象庁からの気象警報・注意報をもとに、各市区町村から発令されるのが避難情報です。
警戒レベルは5段階に設定されていて、一番危険な警戒レベル5は緊急安全確保と言います。この情報が出された時には避難場所への移動はすでに困難な恐れが高いです。とにかく命を守るために、最善の行動を直ちにとる必要があるという強いメッセージと言えます。

*出典:神奈川県災害情報ポータル

今すぐできる!身を守るために備えておくべきこと
ひとたび水害が起こると、水が迫るスピードが速いのであっという間に被災する恐れがあります。水害が発生してから慌てても間に合いません。水害から身を守るためには日頃からの備えが何よりも重要です。
- ハザードマップの確認:自宅や職場がある地域の水害リスクマップや避難場所、避難経路を事前に確認しておきましょう。国土交通省や各自治体のウェブサイトで見られるほか、自治体窓口でももらえます。
- 気象情報の確認:テレビやラジオ、インターネットで常に最新の気象情報を把握する習慣をつけましょう。自宅や職場にいるときはもちろん、旅行や出張で知らない土地にいるときに安全を確保するために、スマートフォンの緊急速報は常にONにしておくことをおすすめします。インターネットで近隣の河川のライブカメラをチェックするのもおすすめです。少しでも危険を感じたら自主的な避難も検討しましょう。
- 非常持ち出し袋の準備:非常食、飲料水、懐中電灯、ラジオ、救急セットなどを詰めた非常持ち出し袋を準備しておきましょう。過去のコラムでも防災用品について触れていますので参考にしてください。
- 避難経路と連絡手段の確認:家族・親戚・近所の方と、避難経路・避難場所・連絡手段などを情報共有しておきましょう。SNSなどで災害時連絡用のグループを作っておくと安心です。
- 自宅の浸水対策:浸水が想定される地域では土のうや止水板を用意しておくと良いでしょう。家具家電や生活用品は、上階に運べるものは移動しやすいようにまとめておくと便利です。
- 防災訓練に参加して経験値を上げておく:水害に限らず突然の災害は誰でもパニックを起こします。訓練を積んでおけば、突然災害に巻き込まれても余計な体力や気力を消耗せずに済みます。
ちなみに、水害で避難するときに長靴を履くのは危険なのでやめましょう。長靴は中に水が入ると重くなって脱げやくなるので、ケガをしやすいからです。
水害の水は、河川の砂や石、ガラスなどの破片、虫や動物の死骸が混ざっており、衛生的にも大変危険です。水の中を移動しないのが一番いいですが、どうしても水の中を歩く必要があるなら、ケガをしないように厚手のズボンと底の厚い靴を履きましょう。クギなどの踏み抜き防止インソールもありますので持っておくと安心です。

マイホームと持ち物を守るために:水害にも備えられる火災保険
自宅にかける火災保険に水災の補償を付けておけば、水害で家屋や家財に損害を受けたときに保険金を受け取れる場合があります。水災の補償内容は主に床上浸水などですが、保険会社によって細かい条件が異なります。ご加入の火災保険のパンフレットを確認するか、保険会社に契約内容を確認してみてください。
なお、水災の補償は単独での契約はできませんので、火災保険に組み込む形になります。ここ数年は局地的な豪雨が増加していますので、なるべく水災の補償を付けておきたいところです。ハザードマップなど、ご自身の住所から水災のリスクを調べられるwebサイトを参考にするとよいでしょう。

最後に
今回のコラムを執筆するにあたり、国交省や気象庁の多くのレポートを参考にしました。昭和56年当時に北海道で観測史上最大規模の被害があった石狩川大洪水を始め、ほぼ毎年のように水害は発生しています。
筆者の出身地である埼玉県も「川の国」と呼ばれ、全国一の河川面積を誇ります。実家の近所にある川が大雨で氾濫して橋のギリギリまで水位が上がったときの恐怖は今でもよく覚えています。
サークルでは、水害にも備えられる火災保険やケガに備える保険のご相談を承っております。ホームページのお問い合わせまたはお電話で来店予約できますので、ぜひご相談ください。
*参考:国土交通省 水害レポート